レジスタンストレーニングは筋量や筋力だけではなくて、ミトコンドリアの質と量を改善させるかもというお話し

ストレングストレーニング

ここの所、パーソナルトレーニングについてのお問い合わせを以前よりも受けるようになりました。有り難いですし、エンデュランススポーツにおいても筋トレの重要性が少しずつ浸透してきている結果としたら喜ばしい事です。

 

しかしながら、筋トレが持久的なパフォーマンスを向上させ障害のリスクを減らすという報告が多数あるにも関わらず、役に立たないとか、むしろパフォーマンスが下がるという風評が流布されております。

 

確かに、効果を感じるのに時間が掛かります。そして持久的な練習を削って筋トレに充てれば競技練習の量が減りますし、筋肉痛等で競技練習に支障が出る可能性もあります。そうなれば一時的にパフォーマンスが下がることは起こり得ると思います。

 

そういった不安を感じるのは致し方ないと思っており、それを払拭するにはどうしたら良いかなと思っていたら面白い研究をみつけたのでご紹介いたします。原著はこちらです。

 

Resistance Exercise Training Alters Mitochondrial Function in Human Skeletal Muscle

 

筋トレを行う事で筋量や筋力だけでは無く、細胞内のミトコンドリアにどういう変化が起きたのかという研究です。持久的なトレーニングがミトコンドリアにどういった影響を及ぼすかといった研究は盛んですが、筋トレに関しては余り知られておりません。なかなかに興味深い内容です。

 

概要

・11人の若い男性が対象(非鍛錬者)

 

・実験参加前に10-14日間の慣らし期間を設けた

 

・週に3回、12週間のトレーニングを課した

 

・トレーニングは徐々に負荷を変えながら1RMの60~80%の負荷を用い8~10回、3~4セットで行われた

 

結果

・除脂肪体重が2.5㎏、外側広筋の筋厚が0.3㎝(12%)増加した

 

・大腿四頭筋及び大腿二頭筋の等尺性ピークトルクが屈曲・伸展どちらに対しても有意に向上した

 

・筋肉内1㎎あたりのミトコンドリア呼吸能が有意に向上した

 

私見

この研究を見る限りでは筋トレを行う事で筋力や筋量だけではなく、エネルギーの産生に関わるミトコンドリアの改善にも好影響を与えると示唆されております。

 

リミテーションとしては、鍛錬者が対象ならば同じ結果になったのかは分かりませんし、持久的なトレーニングと効果が重複するのかも分かりません。この結果がエンデュランススポーツの競技者にそのまま当てはまるとは考えておりません。

 

しかしながら、筋トレによっても持久的な能力の向上が起こり得る可能性を示唆しております。エンデュランススポーツの選手といえど、競技練習だけでは無く他のトレーニングも併用した方が良さそうとは考えられます。

 

少なくとも、持久的な能力に対して筋トレが悪影響を及ぼす事は無いという現在の見解をサポートするには十分だろうと思われます。

 

そして、お仕事やご家庭の事情といった何らかの理由で競技練習が行えない状況になったとしても、取り合えず筋トレだけでも行えば筋力だけでは無く多少なりとも有酸素能力を維持出来そうという期待が持てます。

 

世の中には様々な情報が流れて来ます。何となく皆がそう言っているからというモノに流されるのではなく、適切な情報を基にトレーニングを行って頂ければ幸いです。

 

参考文献

Porter C

Resistance Exercise Training Alters Mitochondrial Function in Human Skeletal Muscle

Med Sci Sports Exerc. 2015 Sep; 47(9): 1922–1931

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