暑熱環境における水分補給の重要性について~発汗するとなぜ心拍数が増加するのか~

トレーニング

ご無沙汰しております。沖縄等はすでに明けておりますが、そろそろ梅雨が明け本格的な夏を迎えます。毎年のことながら暑さに悩まされる時期でもあります。

以前、汗をかくと心拍数が上がるのは不思議だとおっしゃっている方がおりました。曰く赤血球数は変わらないはずなので、発汗によって血液の絶対量が減ったとしても酸素を供給する能力は変わらないはずとのことです。

確かに、そういう風に不思議に思うのも分からなくもありません。その疑問に答えるためにも実際の所どうなのというの述べてみたいと思います。リハビリなのでとても短いのですがよろしければご覧ください。

 

スターリングの心臓の法則と発汗による心拍数の増加について

まず見出しに書いたスターリングの心臓の法則について。これは心拍出量と心室の収縮力に関する法則です。

物凄くざっくり申し上げると、心臓の筋肉(心筋)は大きく引き伸ばされるとより強く収縮出来るというものです。

心筋が大きく引き伸ばされるのは送り出された血液が静脈を通じて心臓に戻って来た時です。発汗によって血液が減少すると心臓への還流量も低下いたします。

従って、フローチャートにすると、発汗による血液量の低下→心臓への還流量の低下→心筋の伸びの低下→心筋の収縮力の低下→1回拍出量の低下→補うために相対的な心拍数の増加という理路です。

体水分量が減るとパフォーマンスの低下を招くのは多くの方がご存じと思います。その一端がこういう理由であるとお考えください。

また、暑熱環境だと身体冷却のため体表面付近への血流量が増えます。それは体表面付近と活動肢において血液の奪い合いを生じさせ、それを補うために心拍数が増加するという理由も御座います。暑熱環境というのはそれだけで持久的パフォーマンスに対して悪影響を及ぼす訳です。

 

水分補給と冷却は遠慮せず

上記の通り発汗量が増える暑熱環境はパフォーマンスに対し悪影響を及ぼします。特に、マラソンなどを行うと発汗量は1時間で2Lを超え、2~3時間の競技練習で5~6Lに達するなんて話もあるくらいです。夏場は飲み過ぎと感じるくらい頻繁に水分補給なさることをお勧めいたします。

ただ塩分を含まない真水だと低ナトリウム血症を誘発させるかもしれません。スポーツドリンクを利用したり、塩飴といったミネラルの補給手段も忘れずにご用意ください

少しでもトレーニングの質と量を確保するために、暑熱環境に適応したいといった何らかの理由が無ければ暑くなる前の早朝に練習をする。なるべく日陰を選ぶといった工夫が必要だと思います。

実走では無くローラーならば、クーラーや扇風機をガンガン利用して冷却するのがよろしいかと思います。アイスソックスやアイスジャケットの利用もお勧めです。

本日は短いですがこれで終了です。次回は暑熱順化について学術的な知見を加えながら述べるつもりです。引き続きよろしくお願いいたします。

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