初心者に適切な筋トレの回数と強度

オフシーズンのトレーニングについて

たまにはS&Cコーチっぽい投稿ということでしたためました。普段のような学術論文を基にした考察ではなく経験則による思考方法についてです。

さて先日ツール・ド・おきなわが終わり、CXを主戦場となさっている方を除けばオフシーズン真っ最中だと思います。このオフを利用して筋トレに挑戦してみようという方もいらっしゃるかと思います。

筋トレを始める際、教科書的には10~12回を2~3セットとか、ジムにいるトレーナーさんからは10回3セットが効果的なんて話しを聞くかと思います。場合によっては15~20回とさらに多くの回数をお勧めされるかもしれません。

始めたばかりだと技術的に拙いから相対的に低い強度になるのは分からなくもありませんが、10回を超えるような多くの回数でセットを組む考えに対して私は否定的です。

マシンを利用したものであったりカーフレイズといった技術の習得が容易かつ補助的な種目は例外的に多くの回数で組むことこそあれど、基本的には4~8回を目安に10回以下にするべきだと考えております。

特に、スクワットやデッドリフトといったバーベルを用いたメインのエクササイズは8回でも多いくらいで、6回以下がほとんどです。その理由について述べていきたいと思います。

注意事項として初心者といった非鍛錬者を想定しております。習熟している人には異なるやり方を選択することも御座います。

技術や疲労問題

まず技術的な面で問題があります。例えば、ルーマニアンデッドリフトをするために胸を張ってと指示を出したとしても、肩甲骨を寄せて下げることが出来ないから肩がすくむ。胸を張れないから腰を反らせる。スタートポジションすら取れないなんてのもザラです。

また、エクササイズを繰り返せば当然疲労します。1回目では出来たことでも回数をこなすことでエラーが発生します。これは上級者であろうと初心者であろうと変わりません。そして鍛錬度が低いほど繰り返せる回数は少なくなります。

そして、種目数が増えれば後に行うものほど疲労しますし、競技練習による疲労も考慮しなければなりません。

どこまでを許容範囲とするかにもよりますが、上記のような状況下で厳格にラインを引くならば初心者は2~3回でエラーを出して当たり前です。その状態で回数だけをこなしてもリスクが高くなるだけです。

同じ試行回数ならば連続して行う方が高い学習効果を得られるといった報告があるならばともかく、1セットで多くの回数をこなす理由は特に思いつきません。1×10回ではなく2×5回と分割した方が安全であると考えられます。

筋持久力の向上に繋がるから多くの回数をこなすべきとお考えの方もいらっしゃるかもしれませんが、それならば自転車に乗ってペダルを回す方がずっと多くの回数を競技そのものの動きで行えます。持久力の向上を目指すのならば競技練習を行う方がはるかに効率的です。筋トレで行う必要はありません。

強度をどうするか問題

4~6回で限界の挙上重量というと1RMの85~90%に相当します。そういった高強度で行うのは危険であると感じる方もいらっしゃると思います。その懸念は理解できます。

それに対する答えは「その重量でやらなければ良い」です。

回数によって挙上できる重量の最大値は変化します。しかしながら、最大値付近でやらなければならない訳ではありません。関節可動域を命一杯使いながら安全に行える重量で実施すれば良いだけです。

その結果が人によっては1RMの70%かもしれませんし、もっと高かったり低かったりするかもしれません。そこは個人によって調整なさってください。

本人の許容できる負荷を超えるから怪我をするのであって、回数を増やせば安全であり少ない回数だと危険という訳ではなりません。大事なことは想定されるリスクを避けることです。

デメリットを申し上げると、相対的に高い強度・低回数・多セットだと時間が掛かります。レストの回数が増えるので同じ種目・回数をこなそうとするとより多くの時間が必要になります。

例えば、3×10回と6×5回を比較すると、後者だと1.5倍は時間が掛かると思います。種目数を絞ったり、相対的にセット数を減らすといった工夫は必要だろうと思います。

最後に

結論を申し上げると、筋トレ初心者といった非鍛錬者は相対的に高い強度・低回数・相対的に多セットが望ましいと考えております。この相対的にというのが重要でして絶対値ではありません。ご自身の能力に応じて調整なさってください。

もし多くの回数でセットを組みたいのならば、多くの回数でなければ達成できない理由についてよくお考えください。確固とした理由があれば全く問題ありません。しかし、それは本当に必要なのか?他で代用できないものなのか?という視点は大事だと思います。

編集後記

以前から告知しているストレングストレーニングのセミナーについて。お陰様で11月23日(土)開催分は残席1となりました。

科学的知見を中心とした内容ですが、上記のようにコーチとしての経験則もお話しする予定です。どんな具合に考えるべきなのかご興味のある方は下記よりお申込みください。

セミナーの詳しい内容についてはこちらをご参考ください。

    タイトルとURLをコピーしました