重要なレースに向けて。持久的能力を維持する要素は何か~量・頻度・強度~

トレーニング

5月も終わりを迎えいかがお過ごしでしょうか。6月はプロや実業団選手にとっては全日本選手権。アマチュアであれば富士ヒルクライムやニセコクラシックと前半戦の大勝負と言えるレースが目白押しです。

重要なレースに向けて最後のもうひと頑張りと皆さん勤しんでいると思います。率直に申し上げて、残り数日から数週間になったタイミングで無理やり走り込んでも体力が大幅に向上することは考え難いです。

従って、この時期になれば疲労を抜き、レース当日に向けてピークに達するよう調整に集中するのが適切です。そのための手段としてテーパリングがあります。テーパリングが上手く行くと平均で3.0%。0.5~6.0%の範囲でパフォーマンスは向上する模様です。

しかしながら、練習量を減らせばフィットネスは落ちます。フィットネスを如何に落とさないで済ませるにはどうしたら良いかについて本日は述べてみようと思います。

持久的能力を維持するには何が重要か?

持久的能力を維持するためにどうすれば良いかについてはHicksonが素晴らしい報告(1981、1982、1985)をしております。

どういった内容かというと被験者は12~13名。自転車とランを利用。1日40分を週6日。10週間に渡りトレーニングを課す。10週間のトレーニング後、15週間に渡り量・頻度・強度をそれぞれ33%減。66%減したらどうなったかといったものです。

最初に行われた10週間のトレーニングで最大酸素摂取量は10~25%増加しております。その後、量と頻度をそれぞれ33%、66%減少させたものは15週間後も最大酸素摂取量を維持。それに対して、強度を33%、66%減少させたものは維持出来ませんでした。最大酸素摂取量を維持するのに最も重要な要素は強度と考えられます。

これは40年近く前の研究です。現在はどうかとお考えになる方もいらっしゃると思います。

Spieringが2021年に報告した研究においても、運動強度が維持されている限り、練習頻度を週2回程度に減らしても練習時間を3分1~2(40分だったものを13~26分)に減らしても最大15週間持久的パフォーマンスを維持出来たと述べられております。

30年以上経過しても同様の結果です。少なくとも、最大酸素摂取量といった比較的短時間の持久的能力を維持するのに最も重要な要素は強度と言ってよろしいかと思います。

注意点としてはあくまで最大酸素摂取量についてのみです。何時間も走り続けるような能力も維持されるとは言えません。

そう聞くと、全日本やニセコのような長い距離のレースを目標としている方はギリギリまで走り込む必要があると感じるかもしれません。

しかしながら、冒頭で述べた通り体力が大幅に向上することは考え難いですし、無理をして怪我をしたり体調を崩せば本来のパフォーマンスの10%引き、20%引きは当たり前です。最悪レースに出場することすら出来ません。はっきり言ってリスクとリターンが全く見合いません。

ここまで来たらジタバタせず、今までに積み上げて来たものを信じて心穏やかにレースを迎えて下さい。本日のポストが役立つことを願っております。

なお、テーパリングに関して具体的な方法論に関しては過去のブログでまとめてあるのでそちらをご覧ください。

テーパリングとピーキングについて~個人差を考慮しましょう~

編集後記

6月からコーチングの枠が空くのでクライアントの方を1~2名様募集いたします。シーズン後半に向けて頑張っていきたい。もしくは、前半戦上手く行かなかったのでどうしたら良いかお悩みの方は是非お問い合わせください。ご連絡お待ちしております。

参考文献

Hickson R C.

Reduced training frequencies and maintenance of increased aerobic power.

Med Sci Sports Exerc. 1981;13(1):13-6.

Hickson R C.

Reduced training duration effects on aerobic power, endurance, and cardiac growth

J Appl Physiol.1982 Jul;53(1):225-9.

Hickson R C.

Reduced training intensities and loss of aerobic power, endurance, and cardiac growth.

J Appl Physiol(1985).1985 Feb;58(2):492-9.

Spiering BA.

Maintaining Physical Performance: The Minimal Dose of Exercise Needed to Preserve Endurance and Strength Over Time.

J Strength Cond Res.2021 May 1;35(5):1449-1458.

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