トレーニングは複雑怪奇な代物です。自身の置かれている状況や、考慮すべき様々な変数がありこうすれば良いというモノは存在しないと言って差し支えありません。しかし、今よりも高いレベルを目指すのならば最終的には2つの選択肢しかありません。
それは強度を上げるか、ボリュームを増やすかの2つです。
この問題について非常に興味深いブログを見つけたのでザックリとしたところをご案内したいと思います。
原著はコチラです。
Is It More Important to Run Faster or Run Longer?
「ミトコンドリアの容量増加を促進するには、ボリュームよりも強度が重要である」という主張に対して、2つの研究者グループが異なる見解を示したのをAlex Hutchinsonが紹介するという内容です。
今回ご案内するモノは、こういう具合にトレーニングを組み立てるべきといった方法論ではありません。しかし、それぞれの主張と、何に対して反論をしているのかを知っておくのはトレーニングを理解する上で役に立つと思われます。
強度重視の主張
強度を重視するグループはMartin Gibalaを筆頭に、博士課程のLauren Skelly、博士課程修了生のMartin MacInnisです。
こちらのグループの主張は主に2つ。
1つ目は、同じ作業量のトレーニングプログラムを行った際に比較すると、より高い強度のトレーニングで少ない量のプログラムをこなした方がミトコンドリアの増加が見られた。
2つ目は、大半の人は大量のトレーニングを行うのを嫌がるからこそ、強度が重要であるというモノです。
ボリューム重視の主張
ボリュームを重視するグループはDavid BishopとJavier Botella。そして、Cesare Granataです。
こちらのグループは総トレーニング量とミトコンドリアの変化量の関連を示す56の研究を分析し引用しました。また同じ分析において、強度とミトコンドリアの変化に有意な相関関係が見られなかったと報告しております。これらの報告はボリュームがミトコンドリアの変化における重要な因子であると示唆しております。
それぞれのグループの反論
ここでの争点は主に2つに集約されます。
1つ目は、ミトコンドリアの変化をどのように測定するかについて。残念ながらこの点においては私の理解が及ばないので割愛いたします。
2つ目は、効率と有効性について。
強度重視のグループは1分あたりの変化量にポイントを当てています。時間的制約のある生活を強いられている中で時間あたりの効果が高いのは重要です。
ボリューム重視のグループもその点は認めています。しかし、効率と有効性は別であると主張いたします。
(注釈:例えば、1分あたりで考えれば優れていても、1時間使えればもっと良い方法があり得る)
また、そもそもトレーニングを行う際に時間の不足が最も重要な問題なのか。自分にとって不快な何かを避けるための言い訳ではないかと疑問を呈しています。
1964年東京オリンピックの例
実際問題として、1つの変数のみで物事を語るのは無理があります。ブログ内に紹介されているように、1964年東京オリンピックの5000mではBob Schulが優勝しました。Bobは1日に2回インターバルを行う事をメインに据えるという高い強度でトレーニングを行うスタイルでした。
それに対して、準優勝したHarald Norpothは1週間に100マイルを超える距離を走っていたそうです。こちらはより低い強度でボリュームを稼ぐスタイルと言えます。
ここから得られる教訓は、同じ表彰台に登るにしても様々な道のりがあるという事です。
ある人々は比較的リラックスしたペースで長い時間トレーニングすることを好み、ある人々は激しいペースで短い時間のトレーニングを好みます。必ずしもどちらかが優れているという訳ではありません。
まとめ
強度重視にせよボリューム重視にせよ、どちらもミトコンドリアの適応を引き出し持久力を改善してくれます。選手自身の趣向や必要とされる能力に応じてやり易いやり方を選択すれば良いでしょう。
敢えて言うとすれば、同じことを繰り返していればトレーニングの刺激がマンネリ化し望んだ適応を得られなくなります。もし、自身の能力を最大化するにはどうすれば良いかと問われれば、上記全てを行うべきとお答えいたします。
編集後記
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