セミナー報告とQ&A

11月25日、千葉県佐倉市にあるEVERFiT24様で「自転車選手がやるべき筋トレ」について、PCGで同僚の伊藤コーチにお手伝いして貰いながらセミナーを開催させていただきました。

ジム会員様以外に外部からも数名、そしてゲストとして元全日本選手権チャンピオンの西加南子選手にも参加いただけるという豪華メンバーでした。

お店の情報はこちらのFBページからご覧ください。
(お店のオーナー中村様自身がサイクリストで理解がありますし、筋トレの機材だけではなくワットバイクや、現在工事中ですが低酸素室・高酸素カプセルまであるという素晴らしいジムです)

 

さて、実施した内容は下記の通りです。

座学

・持久力とは何か?
生理学的持久力と競技における持久力の違いについて

・自転車競技に求められる能力とは何か?
総合的な視点から筋力向上=ストレングストレーニングの必要性について

・ストレングストレーニングによって得られるメリット
学術論文を基に競技力向上、障害予防等について

・ストレングストレーニングにおいて注意するべき点
特に剪断力(=シアロード)について図を使いながら説明

 

実技

・リバースランジ、ルーマニアンデッドリフト、スクワットの3種目を3人一組で交互にチェックしあいながら実施

 

様々な質問を受けたので、幾つか紹介しながら詳しくご案内したいと思います。

Q、低強度の競技練習を減らして筋トレを実施するべきというが、例えばアクティブリカバリーの時に行うと筋トレがリカバリーを阻害しないのか。リカバリーの時には避けるべきではないか。
(低強度の競技練習を減らして筋トレに充てても競技力が向上するという研究を紹介したのを受けて)

 

A、筋トレを行えば疲労します。リカバリーを阻害するというのは正しい認識だと思います。ただし、リカバリーの日に実施するのを避けるべきかどうかはその人の練習量や回復力によります。

まず週に1日はフルレストの日を設けるべきと考えています。肉体的にもそうですが精神的にリラックスする日を作るべきだと考えているからです。ただし、もともとの練習量が少ないならば休みの日に実施しても良いと思います。この辺りは実際にやってみて回復が追い付くかどうかを確認しながら行うべきです。

特に最初は筋肉痛などが酷いでしょうから、多少競技練習を減らしてでも慎重に積み上げるのが大切です。

 

Q、フリーウェイトを推奨しているがマシンでは駄目なのか。

A、比較的安全かつ技術の習得が簡便なマシンを利用しても良いと思います。ただし1種目で様々な能力の向上を期待できるフリーウェイトを推奨します。

例えば、マシンだと数種目を行う必要があるのに対して、スクワットだと重さに負けないために脊柱を安定させる筋群、ウェイトを担げば重心が高くなるのでバランスを取る能力、ほぼ全ての下肢筋群、股関節周りの柔軟性の向上、身体を連動させるコーディネーション能力の向上が期待できます。

単にその種目に効果があるかどうかだけではなく、同じコストでどれだけの効果を得られるのかという「量」の視点を持っていただきたいと思います。

フリーウェイトを用いたベーシックなエクササイズを中心に行い、それでは足りない部分の補助としてマシンを使用するのは有効な方法だと思います。

 

Q、自体重では駄目?

A、最初は自体重でも十分だと思います。ただし、負荷がすぐ頭打ちになるので重りを担ぐのは必須です。過負荷の原則、漸進性の原則に則ってトレーニングを行う必要があります。

 

Q、競技練習と筋トレどっちが先?

A、競技練習を優先して下さい。競技力を向上させるには競技練習が最も重要です。全力で筋トレを行った後にまともな強度で競技練習をするのは非常に困難だと思います。

 

Q、競技練習と筋トレは一緒にやっても良いの。

A、持久的なトレーニングは筋トレの効果を阻害するという研究があるので別日に行うのを推奨します。ただし、スケジュール的に厳しければ同じ日に行っても大丈夫です。その場合はなるべく間を空けた方が良いです。具体的には6時間以上。

安心して欲しいのは、筋トレの効果を阻害すると言っても効果をゼロにする訳ではなく7割とか8割にするというものです。そして、筋トレを行っても持久的能力に悪影響はありません。

参考論文
Concurrent training: a meta-analysis examining interference of aerobic and resistance exercises.

 

他にも様々な質問を受けましたがこのくらいにしておきます。取り上げきれなかったものについてはご容赦願います。

サイクルモードから始まり、ハンターの東京セミナー、そして今回のセミナーを開催して感じたのは、筋トレが必要かなと思ってはいてもどうやったら良いのか。どういったメリットを得られるのかがイマイチ分からないから放置したままという印象です。こういう機会を今後も作って少しずつ普及していけたらと思っております。

貴重な機会をいただきEVERFiT24様どうも有難う御座いました!

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