WKO5を眺めた雑感~TISやdFRC~

トレーニング

先日、WKO5がリリースされました。まだまだ不具合だらけのようでしばらく導入は見送るつもりですが、解説を読んだりウェビナーは受けております。そこで感じたことをざっとまとめてみたいと思います。従って、普段のように論文を紹介しながらというモノではありませんので悪しからずご了承ください。

 

WKO5がどんな内容かは「とんぼと一緒にロードバイク」のMIKさんが一連のブログで綺麗にまとめて下さっております。7月24日現在で6つ御座いますので是非ご参考ください。

 

とんぼと一緒にロードバイク「WKO5 とりあえず使ってみた

 

用語に関してはこちらをご覧になっていただくとして、WKO4からWKO5になり、今まで以上に比較や検証する機能が追加され、個人の能力や適性に応じてトレーニングを管理するやり方にシフトしていくのだろうなと感じております。

 

例えば検証する機能としてはsmart segmentがあります。これを使えば同じコースでのデータを手軽に比較できます。ラップを切るタイミングで条件が変わるといった事を防げるので、進捗管理が正確かつ楽になるだろうと思われます。他にも周回コースのレースならば勝負所でのパワーや心拍数の確認も簡便でしょう。

 

新しい指標として気になったのはTIS(Training Impact Score)とdFRC(Dyanmic Functinal Reserve Capacity)です。

 

TISについて

TISは有酸素と無酸素への特異的な刺激を定量化したものと定義されているようです。今まではTSSで体への負荷を定量化していた訳ですが、これだと狙ったトレーニングが出来ているかどうか把握するのは困難でした。

 

例えば、同じTSS100でも1分全力のインターバルを繰り返したモノと、エンデュランスで稼いだモノでは体へのダメージや引き起こされる適応が異なるのは体感としてご理解いただけると思います。

 

これらの違いを各パワーゾーンの滞留時間から推測したり、得られた結果(パワーの変動等)から過程が正しかったかを確認し次に活かすというやり方をとっていたと考えております。

 

しかし、TISの登場で簡便な答え合わせが即時可能になります。トレーニングのフィードバックが格段に早くなるのは画期的と言って良いでしょう。
(注)TISのスコアが適切にトレーニングを評価出来ているのかどうかという議論は置いておきます。

 

他にも、トレーニングの単調さを避けるためにどう変化しているか確認していくという使い道もあるでしょう。
(注)トレーニングが単調だとオーバートレーニングを引き起こすリスクが高くなるという報告があります。詳しくはコチラのFosterの研究をご覧ください。

 

dFRCについて

Golden Cheetahをご利用の方には馴染みがあるかもしれません。WKO+の公式自体が認めているように、そこで使用されているW’balanceを基に生み出された指標です。

 

原文はコチラです。

 

バッテリーと解釈して良さそうです。使うと減り、休むと充電されます。この指標を見る事で選手がしっかり追い込めたかどうかを確認できます。まだまだ追い込めたとか、逆にこれはやり過ぎだったというのが視覚化出来ます。

 

視覚化出来るというのが重要で、この指標を用いる事でより細かく強度や時間を設定することが容易になります。

 

例えば、FTPと3分のピークパワーが同じ選手AとBがいたとします。ただし、Bの方がdFRCが高い(回復が早い)。その2人に6×3分、レスト3分のワークアウトを課しました。 FTPとピークパワーが同じなので負荷設定を同じにしても良いはずです。 しかしAは失敗してBは成功したとします。

 

dFRCの数値を知らなければ気合や根性の問題と片付けてしまうかもしれません。しかし、その数値を知っていれば

 

Aは3×3分、レスト3分を2セット。セット間に5-10分の流しといった具合に工夫した方が良いかもと考える事が出来ます。

Bはレストを2分に短縮するという具合に試してみようと考えるかもしれません。

 

そして、その変化させる幅をデータを基にある程度予測して設定することが出来ます。今までは選手や指導者の勘でやっていたことを数値で予測することが可能です。経験や勘に頼らなくてもある程度の事が出来そうになったのは技術の進歩と言って良いと思います。

 

ちょっと長くなってしまったので本日はここまでにして、次回は選手の能力を測る方法も少し変わってきているのかなというお話をする予定です。今週か来週にはアップするつもりです。

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