アスリートにお勧め書籍の紹介

トレーニング

西薗元プロがツイッターでENDURA(邦題 限界は何が決めるのか? 持久系アスリートのための耐久力(エンデュアランス)の科学)を紹介されていたので触発されたポストです。

 

いつものように研究を紹介しながら云々という内容ではありませんので気楽にご覧下さい。なお、理由は省きますがアフィリエイトはやらないと心に誓っているのでリンクは貼っておりません。段落をコピーして検索すればすぐ見つかるので、購入をご検討の方はお手数ですがご自身で検索なさってください。

 

 

・エンデュランストレーニングの科学 −持久力向上のための理論と実践−

 

持久的なトレーニングについて1冊お勧めするとしたらコチラの書籍です。生理学的な応答といった細胞レベルの話しからピリオダイゼーション、強度の配分、HIIT、変わった所だと時差ボケの影響等々。多岐に渡る項目についてそれぞれの第一人者がまとめているといった内容です。

 

イメージ的にはレビュー論文を1冊の書籍にしたものとお考えください。レビュー論文というと身構えてしまうかもしれませんが1つの項目に対して10~20ページくらいです。20~30分くらいで先行研究のあらましと、現在分かっていることを知れるので凄いお得と感じています。

 

それに、リファレンスが充実しているのでもっと知りたいと思ったら芋づる式に先に進めます。頭から順に読んでいくのも良いですが、気になる項目を読んで必要になったら関連するものをといった具合に読み進めると飽きずに読み切れると思います。

 

難点を挙げるとすれば日本語版の発売が2015年。原著はさらに前になるので最新の研究とまではいかない所でしょうか。ざっと見た感じだと2010年くらいまでの内容と踏まえておく必要があります。

 

 

・テーパリング&ピーキング 最適なパフォーマンスのために

 

次に、テーパリングやピーキングについて徹底的に学びたい方はコチラです。先ほど紹介したエンデュランストレーニングの科学をまとめたIñigo Mujika氏がまとめた書籍です。

 

テーパリングとピーキングについてこれでもか!というくらい細かく記してあります。ざっと項目を紹介するだけでも、テーパリングの基本的な考え方。テーパリングに関連した呼吸循環系および代謝の変化。生化学的、内分泌的、神経筋的、免疫学的変化、心理学的変化。

 

他にも競技パフォーマンスにどういう影響を及ぼすか。持久的スポーツやチームスポーツといった各種競技におけるテーパリングとピーキングについて注意点ややり方を紹介していたりといった具合です。

 

ピーキングとテーパリングという1つの内容について、よくこれだけのボリュームを稼げたものだと感心します。難点を挙げるとすると、論文集といった体なので論文を読むことに慣れていないと少しとっつき難いです。

 

 

ピーキングのためのテーパリング −狙った試合で最高のパフォーマンスを発揮するために

 

「テーパリング&ピーキング 最適なパフォーマンスのために」だと読むのが辛い方はこちらの書籍をお勧めします。

 

著名なS&Cコーチである河森博士の本です。先ほどの本の細かい部分を取っ払って上手くまとめているものという印象です。

 

特にフィットネス-疲労理論について学ぶのに参考となる書籍はこれくらいしか思い浮かびません。(Zatsiorskyの筋力トレーニングの理論と実践という本があるにはあるのですが、Preparednessをスキルと訳したら意味不明だろう…)

 

それに、河森博士のピーキングに関する考え方も非常に参考になります。なぜそうするのかという考え方を詳しく書いてあるので、アスリートや運動指導者が現場で使う知識が欲しいというのならばコチラが良いと思います。

 

とにかく詳しく知りたいという学者気質の方は「テーパリング&ピーキング 最適なパフォーマンスのために」の方が良いでしょう。ご自身の用途に応じてどちらかお選びいただければよろしいかと存じます。

 

 

スターティングストレングス(日本語版)

 

筋トレについて何か1冊と問われれば迷わずこちらです。恐らく世界で最も読まれている筋トレについての本です。

 

内容としてはMark Rippetoeがバーベルを使用したエクササイズについて、なぜそうなるのかを図やイラストを使いながら延々と語ります。その分量たるやスクワットだけで50ページ以上。

 

これを読むと筋トレというのは物理なんだなと良く分かります。ジムに勤めていた時は、近くの図書館に英語版が所蔵されていたのでパラパラ眺めておりましたので思い出深い1冊です。日本語版が出て本当に助かりました。

 

あくまでMark Rippetoeの考え方なので、このエクササイズのやり方が正しいと言い切れませんが、なぜそうなるのかといった考え方を学ぶにはこれがベストだと思います。

 

 

運動機能障害症候群のマネジメント理学療法評価・MSIアプローチ・ADL指導

 

お勧めかと問われると私には難解過ぎて首を捻ってしまうのですが、良い書籍だとは思いますのでコチラもご紹介します。いわゆる理学療法的なやり方を学んでいた時に読んだ書籍です。

 

ある部位に問題が生じたとしても、必ずしもそこに問題があるとは限らないという考え方を学べた貴重な1冊です。医療従事資格を持っていらっしゃる方からすれば「こんなの常識だろ」となるのかもしれませんが、私にとっては内容が難しすぎて数ページ読む度に寝落ちしてしまいました。

 

身体の測定・評価や、怪我にお悩みの方は読んでみると良いのではないかなと思います。良くも悪くも印象深い1冊です。

 

 

Science and Application of High Intensity Interval Training: Solutions to the Programming Puzzle

 

最後の最後に洋書です。HIITについて学びたかったらこれで決まりです。これを購入して読んだらHIITについては他のを捨ててしまっても良いのではないかなというくらいです。

 

個別の事例研究を除けば、私がHIITについて語っているものは全てこれの焼き増しです。例えば、ブログを始めたばかりに書いた無酸素領域を鍛えるメリットについて考えてみるのASRはまんまこれに記載されているものです。(この当時は書籍がまだ発売されていないので基になる論文を参考にしています)

 

HIITとは何か。どういった要素によって成り立っているのか。各要素を変化させた場合にどういった影響が考えられるのかといった内容が語られています。持久系スポーツの指導者、もしくは球技といった間欠的な運動をするスポーツの指導者は読んで絶対に損はありません。凄くお勧めです。

 

(これは完全に私的な話になります。知人から魅力的なオファーがあったんですけど放置してしまって申し訳ありません・・・忘れていませんから!)

 

さて内容によってお勧め出来る書籍は他にもありますが本日はこれくらいで。こう眺めるとほとんど外国の書籍になってしまいます。理由としては出典の明記です。

 

気になる項目があれば1次資料にあたりたいのに、学術書を除けば日本だとほとんど載せていないんですよねぇ・・・この辺りは本当に改善してもらいたいです。

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